データ連携の流れ

2 データ連携の始め方(下り)

2.1 下り (自社基幹システム→取引先)の実践

 本章では、基幹システムから取引先へのデータ連携を実現するための準備と手順について説明します。

 基幹システムと通信相手先とEDIプロトコルで接続する全体図は以下のようなイメージ図となります。

 実現するEDIシステムを構築する際に検討すべきポイント、およびACMS Cloudの設定方法には各ポイントがあります。

1.通信相手先とのEDI通信設定
2.EDIデータをアプリケーション用データへの変換設定
3.アプリケーション(基幹システム)と連携する設定
4. EDIを自動運用するためのスケジュール管理・制御


 データ連携にはEDIプロトコルを利用したインターネットEDIと、基幹システムへ連携する接続について設定する必要があります。
 EDIプロトコルを利用したインターネットEDIの始め方について説明します。
 データ連携を始めるには以下の取り決めや準備が必要です。

第4レベル 取引基本規約 取引の法的有効性を確立するための契約書
第3レベル 業務運用規約 業務やシステムの運用に関する取り決め
第2レベル 情報表現規約 標準メッセージ(交換メッセージ)の内容や構成
       標準メッセージの構文規則(シンタックスルール)
第1レベル 情報伝達規約 通信回線の種類や通信プロトコルなどに関する取り決め

 EDIプロトコル全体としてはこのような取り決め、流れとなりますがACMS Cloudで担うレベルは第1、第2となります。
 本マニュアルでは第1レベルから第2レベルまでを解説します。
 通信プロトコルに準じたEDI規約に則り準備を進めます。
EDIシステム構築時には第1レベルから着手していくケース、担当制(分業制)を採用して開発をしていくケースなど、色々な手法があります。
 また、事前準備が必要となるものも複数あります。
今回はステップ順にACMS Cloudを用いてEDIシステム構築を実施する方法を記載します。

1.EDI開始前の調整
 -通信接続制御を担うインターフェースの検討
2.設定
 -通信相手先情報の調整と設定
 -EDIデータとアプリケーション用データとの変換処理の検討と設定
3.テスト
 -接続テスト
4.日々の運用
 -EDI業務の自動運用設定
 -状況の確認方法

■ACMS Cloudを利用したデータ連携開始までの流れ

2.2 取引先との通信するにあたっての調整事項

2.2.1 接続方式の決定

 通信接続制御を担うインターフェースの検討と設定を行います。
 通信相手先と協議の上で適切な通信プロトコルを決定してください。
 その際に、ACMS Cloudで利用可能な通信プロトコルを通信相手へ通達します。

■ACMS Cloudのサポートプロトコル

対外接続通信プロトコル:全銀TCP/IP手順(広域IP網)/JX手順クライアント/ JX手順サーバー/ ebXML MS 2.0手順/ AS2手順
基幹システム間連携:Web APIクライアント/ SFTPクライアント/ SFTPサーバー ※1
※1 基幹システム間連携はEDIプロトコルの利用も可能

「2.4接続要求仕様」を参照してください。

・通信相手先からのプロトコル指定があるケース
 通信相手先から特定のプロトコルを指定されるケースが想定されます。
ACMS Cloudのサポートプロトコルを参照し、対応可否を確認、通信相手先と協議します。

・自社-相手間で協議してプロトコルを決定するケース
 各通信プロトコルについて検討する場合、リンク先を参照してください。

■全銀TCP/IP(広域IP網)
全銀協標準通信プロトコルは、企業・銀行相互間のオンラインデータ交換における通信プロトコルです。
https://www.zenginkyo.or.jp/abstract/efforts/system/protocol/

インターネットEDI普及推進協議会
Japan internet EDI Association(略称:JiEDIA/ジェディア)
https://www.jisa.or.jp/jiedia/tabid/2822/Default.aspx

■流通BMS協議会
流通BMS協議会>流通BMS標準仕様>導入ガイドライン(マッピングシート等)>導入ガイドライン https://www.gs1jp.org/ryutsu-bms

2.3 接続先との調整

通信相手先と通信時に必要となる運用ルールや設定情報を事前に確認し相互で共有します。

2.3.1 交換するデータ種の決定

 EDIでの送受信対象とするデータ種別(例:注文、出荷、請求など)を相互に確認して、共有します。

■発信、着信/送信・受信を決定する

 相手側と自社のどちらが送信者になるか、受信者になるかを決定します。

■データ授受の順序性

 データの送受信において順序性を守る必要があるかを決定します。
 例えば、通信障害が発生した場合、後続のタスクが障害を起こしたタスクを追い越して送信・受信することを許容するかを決定します。
 後続のタスクの追い越しを許容しない設定とする場合、障害発生後、後続タスクの送受信も停止します。
通信ユーザー単位で順序性の設定をするか、データの種別の単位(論理ファイル単位)で順序性の設定をするか、あわせて決定します。
 なお、通信ユーザー単位で設定した場合は、該当する通信ユーザーを設定した論理ファイルすべてで追い越し制御が働くことになります。

■並列送信の必要性と可否

 データを順序に要件がなく一定時間内の伝送処理量を上げたい場合、並列送信という手段をとることができます。相手側がその並列受信を許容できるかの要件を確認の上で、決定します。

■未成立データの保存期限

 障害や未処理のために成立しなかったデータの保存期限を両社間で取り決めます。
ACMS Cloudでは未成立データの保存期間は90日間となります。

■成立済みデータの再送に関する保存期限

 再送が可能なプロトコルを使用する場合に成立済みデータの保存期限を両社間で取り決めます。
ACMS Cloudではデータの保存期限は当日中となり、翌日中に削除されます。
成立日翌日以降再送を行う場合には、通信相手から再送するか、基幹システム側で保有しているデータを送信します。

2.3.2 通信パラメータの入手・提示

 通信パラメータを入手・提示します。
 ACMS Cloudの設定内容については利用する業界に応じて接続要求仕様を参照して入力してください。
「2.4接続要求仕様」
 また通信相手先の設定を入手します。
 双方で取り決めが必要な項目については両社間で相談の上で決定してください。
通信相手先からの指定があった場合は、ACMS Cloudの設定の可不可を確認の上で、従ってください。
ACMS Cloudの設定内容については接続相手に応じて接続要求仕様を参照して入力してください。
「2.4接続要求仕様」

その他手順ごとの事項について、以下へ記載します。

 ■JX手順クライアント/ JX手順サーバー

 ・GLNコードについてはこちらを参照し、要否を含めてご判断ください。
 https://www.gs1jp.org/ryutsu-bms/

・一部パラメータについて
 以下のパラメータについては流通BMSの仕様に則って両社間で取り決めしてください。
当方URI :URIメッセージ送信元のURI、又は、メールアドレス、GLN のいずれかの、企業をユニークに識別できる情報を記載します。
当方識別子:ビジネス文書送信企業の識別子。自社の識別子 一般的にはGLNで双方で取り決めた識別子を入力します。
相手URIと相手識別子は相手から入手してください。
・協定シートを用いずに決定する事項については以下項目があります。リンク先を参照してください。
 『16 新規取引先を追加する(JX手順)

■AS2手順
・協定シートを用いずに決定する事項については以下項目があります。リンク先を参照してください。
 『17 新規取引先を追加する(AS2手順)

■ebXML MS 2.0手順
・協定シートを用いずに決定する事項については以下項目があります。リンク先を参照してください。
 『18 新規取引先を追加する(ebXML MS 2.0)

■全銀TCP/IP手順(広域IP網)
 全銀TCP/IP手順を利用する場合、以下のサイトを参照してください。
 インターネットEDI普及推進協議会
 Japan internet EDI Association(略称:JiEDIA/ジェディア)
 https://www.jisa.or.jp/jiedia/tabid/2822/Default.aspx

■手順に関係なく必要な情報を以下へ記載します。

・各通信プロトコルに利用可能な暗号アルゴリズムに関しては、各種通信プロトコルの概要を参照してください。
 『7 ACMS Cloudで利用する各種通信プロトコルの概要(AS2手順)
 『9 ACMS Cloudで利用する各種通信プロトコルの概要(SFTP手順)

・データ連携の際に送受信可能な時間帯
 データ連携の際に送受信可能な時間帯を相談、決定します。
両社間での通信経路でのアクセス制限など、利用対象のIPアドレスが制限されていないかなど、付加情報の有無を確認します。

・発信情報(インターネットURL)の確認
 通信相手先への発信情報は通信相手先から通知してもらいます。
通信相手先からの着信を受ける着信情報はACMS Cloud接続要求から、設定を確認し、相手へ提示してください。

・セキュリティ認証情報
 インターネットEDIを実施する際には「サーバー認証、クライアント認証、ベーシック認証、メッセージ署名」などのセキュリティ認証情報の要件を確認、決定して、相互に共有します。

※HTTPを暗号化通信する際に必要となる「電子証明書(サーバー証明書などと呼称される)」については、電子証明書発行認証局、電子証明書の種類などの情報を共有します。

 ACMS CloudではインターネットEDIを実施する際の証明書については『4 通信機能の概要』4.4PKIを参照してください。

2.4 接続要求仕様

 ACMS Cloudとして通信相手先へ開示するURL等や情報等につきましては
利用開始時にご案内するメールへ記載しております。参照してください。

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