設定の手引き

11 フローの概要

11.1 フローの概要

本章では、ACMS Cloudで業務処理を実行する上での概念を簡単に説明します。

11.1.1 ACMS Cloudで業務処理を実行する

ACMS Cloudでは、対外通信開始前、または対外通信後に、フローを実行します。

対外通信の受信後のデータをデータ形式の変換、または、データの圧縮、解凍を行います。

基幹システムへの連携プロトコルであるWeb APIクライアントの実行もフローから実施します。

11.1.1.1 フローとは

ACMS Cloudでは、アプリケーション処理を纏めるものをフローと呼びます。

アプリケーション処理をフローとして纏めておくことで、処理の再利用やメンテナンスが容易になります。また、業務処理全体を俯瞰する際の視認性が向上します。

ACMS Cloudでアプリケーション処理を動かすためには、アプリケーションをフロー上で実行する必要があります。

定義したフローを実行することで、フローに定義された流れに沿って一連のアプリケーション処理を実行することができます。

グラフ

自動的に生成された説明

通信処理は、フローの一部として実行することはできません。

この処理には特殊性があり、障害処理や実行情報の連携などに特別な考慮が必要になります。このため、ACMS Cloudでは通信処理を、フローとは別の独立した処理として扱います。

フローから通信処理を実行するには、それぞれの処理へ実行を連携する定義をします。

 フローは下記の4パターンがあります。

 なお、変換については22 データフォーマットの変換定義設定を行う(RACCOON)を参照ください。

  • 基幹システム間連携 (Web APIクライアント – Web APIクライアント)

  • 基幹システム間連携 (Web APIクライアント – Web APIクライアント)

  • 基幹システム間連携 (Web APIクライアント – EDI)

  • EDI (対外接続)

11.1.1.2 トップフローとは

ACMS Cloudへ入力したデータがどのような処理を経由して、現在どこまで処理されているのかといった実行状況を確認するものをトップフローと呼びます。

ACMS Cloudは通信処理やフロー処理など細分化した処理を連携させることで、業務処理の実行を実現します。このことは、業務処理の組み替えを容易にするメリットがある一方、全体の流れが把握しづらくなるデメリットがあります。トップフローは、このデメリットを解消するためのものです。

トップフローはACMS Cloudのトップレイヤーで処理される通信、フローの実行実績をグラフィカルに表示します。フロー内の実行実績はトップフローの可視化対象に含まれません。

11.2 フローの機能概要

本章では、フローの特徴と機能について概要を説明します。

11.2.1 フローの構成要素

フローを構成する要素には、ジョブとデータフローがあります。

グラフ

自動的に生成された説明

11.2.1.1 ジョブ

ジョブはデータに対して処理や制御を行う構成要素です。

上図の青いアイコン部分がジョブに相当します。

ジョブはアプリケーションジョブとコントロールジョブに細分化されます。

■アプリケーションジョブ

アプリケーションジョブは『処理』を担うフローの構成要素です。

圧縮や解凍、データフォーマット変換処理などのアプリケーション処理を実行します。

ACMS Cloudが提供するアプリケーションジョブには、次のものがあります。

No

名称

概要

1

RACCOON

RACCOON Developer Studio (RDS) で作成及び編成した編成ファイルに従って、入力データを各種フォーマットに変換します。

2

圧縮

処理データをZIP形式に圧縮します。

3

解凍

ZIP形式のデータを解凍します。

4

Web APIリクエスト

HTTPプロトコルを用いてWeb APIサーバーに対する処理のリクエストを行います。

■コントロールジョブ

コントロールジョブは『制御』を担うフローの構成要素です。

別通信への実行連携などを行います。

ACMS Cloudが提供するコントロールジョブには、次のものがあります。

No

名称

概要

1

開始

フローの先頭を意味します。

2

単独通信チェイン

通信処理への実行連携を行います。

11.2.1.2 データフロー

データフローはデータの受け渡し先を表現する構成要素です。

上図の黒い矢印線がデータフローに相当します。

ジョブ間をデータフローで繋ぐことで、前ジョブの処理結果データを次ジョブへ渡すことを意味します。

つまり、ACMS Cloudのフローは『データの流れ』で、一連の処理の流れを定義します。

11.2.2 フローの関連リソース

フロー処理を行うためには、以下のリソースが必要になります。

・業務グループ

・アプリケーションポート(グループ)

・フロー

・アプリケーション

ダイアグラム

自動的に生成された説明

11.2.2.1 アプリケーション

『アプリケーション』には、アプリケーション処理を動かすためにどのような情報が必要で、どのような情報が出力されるのかといった入出力情報や、並列実行数、リトライ処理などの稼働条件を定義します。

アプリケーションジョブは定義されたアプリケーションを参照することで、そのジョブで動かすアプリケーションを決定します。このため、アプリケーションジョブを実行するためには、アプリケーションを定義する必要があります。

複数のアプリケーションジョブから一つのアプリケーションを参照することができます。

11.2.2.2 アプリケーションとアプリケーションジョブの関係

ACMS Cloudでアプリケーション処理を動かすためには、アプリケーションをフロー上(アプリケーションジョブ)で実行する必要があります。つまり、ACMS Cloudではアプリケーション処理の実行をフロー(アプリケーションジョブ)が司ります。

このため、アプリケーションでは処理の入出力情報や稼働条件など基本的な情報を定義し、アプリケーションジョブではその定義に則り、実行時に使う値を定義します。

11.2.3 フローはどのように動く?

11.2.3.1 フローの起動

フローは次の処理から自動実行することができます。

  • 通信
  • スケジューラー

画面から手動で実行することもできます。

11.2.3.2 フロー入力パラメーター

フロー起動時に受け渡されるパラメーター情報を、フロー入力パラメーターと呼びます。

フロー入力パラメーターを用いることで、実行毎に異なる値でフロー処理を行えるようになります。

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