1.1 ACMS Cloudの主な概念
ACMS Cloudは、基幹システム間連携とEDIプロトコルを用いた対外接続を統合したデータ連携プラットフォームサービスです。
インターネットを経由してオンプレミス、複数のSaaS(Software as a Service)アプリケーションやサービスを統合して、業務プロセスの自動化を実現するシステムです。
対外接続の手段としてハードウェアを調達する必要はありません。
IaaS(Infrastructure as a Service)上のサービスのみで実現できるインターネットEDIプロトコルを備えています。
利用企業の基幹システムからEDI接続先、EDI接続先から基幹システムというEDIデータの上り、下りのデータ連携を行います。
データ変換機能により、基幹システム間の連携、およびEDI接続におけるデータフォーマットの相違も解決します。
ACMSシリーズのACMS Apexをベースとして、EDI接続先と基幹システム間のデータのやり取りを実現するために必要な、特定のEDIプロトコルと機能を提供します。

ACMS CloudではインターネットEDIを利用します 。
従来のWeb-EDI(Webの仕組みを使ったEDI)、従来型EDI(固定電話を使ったEDI)、 AnserDATAPORTや専用線、VPNなどの閉域網は利用できません。

プラットフォーム運用に関する操作、自動運用、通知機能を備え、すべての操作はWebブラウザ上で完結します。
また、管理者は操作や参照範囲を限定した運用者アカウントを追加できます。これにより、複数の運用者が同時に業務運用を行えます。

ACMS Cloudではデータが暗号化されます。取り扱うファイルは暗号化された状態で保管され、閲覧権限のある運用者のみが参照可能です。これにより、情報漏洩のリスクを効果的に防止します。
標準設定では、対外接続・基幹システム間連携、運用管理の各インターフェースが、それぞれ別々のネットワークで設計されています。これにより、たとえロードバランサーやゲートウェイなどのIaaSサービスに障害が発生しても、業務への影響を最小限に抑えることができます。
データ連携は、基幹システムからACMS Cloud、そしてACMS Cloudから相手通信先の区分で接続処理が行われます。
基幹システムとACMS Cloud間の接続では基幹システムからACMS Cloudにデータを送信または受信します。
ACMS Cloud内でのデータ変換ではACMS Cloudが受信したデータを相手先が受け取れる形式に変換します。
ACMS Cloudから相手通信先への接続では、変換されたデータを相手先に送信または受信します。

1.2 基幹システム間連携(基幹システム⇔基幹システム)
ACMS Cloudは、企業内の基幹システム間でデータを連携する中心的な役割を担います。基幹システムからACMS Cloudにデータが送信されると、フォーマットの違いを自動的に変換し、シームレスなデータ連携を実現します。
ACMS Cloudを利用することで、システムごとの個別インターフェースを用意する必要がありません。さらに、ACMS Cloudを導入することで、社内データの流れを整理し、データガバナンスを強化することができます。

1.3 EDI接続
ACMS Cloudでは基幹システムからEDIプロトコルを利用して通信先となる取引先のシステムへデータを連携する中心的な役割を果たします。
基幹システムと対外接続のトランザクションは、常に1対1で行われます。
そのため、基幹システムで登録した1つのデータは1つの処理単位として取引先のシステムへ連携されます。ACMS Cloudでは1つのデータを分割、また結合処理(マージ)を行うことはできません。 ※1
■上り
取引先からACMS Cloudを介して基幹システムへデータを連携します。
■下り
基幹システムからACMS Cloudを介して取引先へデータを連携します。

※1 通信プロトコルの機能で、連結送信など伝送レイヤーでデータの粒度を変更することは可能です。
1.4 データ変換
ACMS Cloudは、データ変換機能が組み込まれています。
標準機能としてデータハンドリングプラットフォーム「RACCOON」が利用できます。「RACCOON」はフロー機能から呼び出して、基幹システム間や、EDI接続でのデータフォーマットの相違を解決します。
※ACMS CloudのフローからRACCOONジョブの呼び出しは1回のみ可能です。複数回の変換が必要な場合は、RACCOON定義を設定することで対応します。
※RACCOONジョブにて入力ファイルを1つに対して複数の出力を行う定義を適用した場合には、そのうち1つの出力のみを有効なデータとして取り扱います。
※RACCOONを利用するために必要な変換定義はRACCOON Developer Studioで作成します。RACCOON Developer StudioはPCにインストールして利用します。
1.5 自動運用
ACMS Cloudには指定した時刻に自動処理を実行するスケジュール機能があります。
営業時間や運用の取り決めに基づいて通信などのサービス時間を制御できます。基幹システムの要件に合わせた自動運用が可能です。
1.6 共同利用モデル
ACMS Cloudでは、複数のお客様が共通のクラウド基盤を共有して利用する「共同利用モデル」を採用しています。
共有リソースの詳細は『3 ACMS Cloudの概要と基本操作』3.5 共有リソースを利用する際の注意点を参照してください。
